シンポジウム紹介

「食料 vs エネルギー −穀物の争奪戦が始まった−」
開催日時: 平成19年5月23日(水曜日) 13時30分−16時35分
開催場所: イイノホール (東京都千代田区内幸町2−1−1 飯野ビル7階)
東京メトロ 霞ヶ関駅下車) http://www.iino.co.jp/hall/
http://www.niaes.affrc.go.jp/sinfo/sympo/h19/0523/index.html


現在石油に代わるエネルギー源としてバイオエタノールが注目され、最近日本でも一部ガソリンスタンドでの混入販売が始まったようです.しかしバイオエタノールを生産するためには微生物を用いてエタノール発酵させる必要があり、その原料として現在使われているのが糖やデンプン、すなわち食糧です.ただでさえ世界的な食糧不足が叫ばれている中、そんなことしちゃマズいだろうと懸念されていますが、先進国で大規模生産された農作物が途上国の農業を破壊してきたのだから、バイオエタノールによって生産地消費が進めば途上国の農業も復活できるとかいう意見もあります(この後者の意見について私は懐疑的.地球上の耕地の生産可能量が限られている点を見落としている).
バイオ燃料生産によって近年穀類の価格高騰が続いており、食糧自給率が40%程度しかない日本にとっては他人事ではありません.中国等の食糧輸入量の増大も合わせて*1、近いうちに日本の食糧確保が困難になる事態も予想されます.
まあセルロース等を分解する微生物を用いてバイオ燃料を生産すること、すなわち農作物の可食部ではなく、非食部を原料とする技術開発も進められています.個人的にはこういった技術により食糧とエネルギーの争奪は回避されると考えておりますが、さてさてどうなることでしょうか.

*1:経済力は日本の方が上だからと甘く見てはいけません.近年の中国の経済成長と、欧米にとって日本と中国どちらかが戦略的に重要であるかを考えると中国が優先される可能性も強い