ノーベル化学賞

http://nobelprize.org/nobel_prizes/chemistry/laureates/2007/index.html
ドイツ・マックスプランク研究所のゲルハルト・エルトル博士が「固体表面における化学反応過程の研究」で受賞.
化学反応と言うと液相中での分子同士の反応を思い浮かべるかと思いますが、固相ー気相反応系も重要な反応系で、ハーバー・ボッシュ法*1半導体上にシリコン薄膜を作る化学気相成長法(CVD法)等に応用されています.要は固体金属上における分子、原子の挙動を明らかにすることで狙った反応を行えるようになったということです.実用的に言えばこれまでどう働いているか分からなかった触媒上の原子の動きが分かるようになり、触媒を"狙って"使えるようになったということでしょうか.
エルトル博士の業績の前にも表面化学分野の研究は進んでいたものの、固体表面上の原子配置の制御が困難で、またそのモニタリング法もありませんでした.その後半導体技術を引き金として、高真空下で表面反応を進めるようになり、一気に研究が進展.
エルトル博士は低速電子線回折(LEED)技術を用いて、金属上に付加された水素の配置を明らかにしました.さらにハーバー・ボッシュ法において、窒素の三重結合が解離し、水素と結合する反応過程を明らかにしました.


医学生理学賞はES細胞を用いたマウスの遺伝子破壊技術でしたね.
http://nobelprize.org/nobel_prizes/medicine/laureates/2007/press.html
・簡単に言うとES細胞の開発と、ES細胞を用い相同組換え*2によってターゲットの遺伝子破壊を行う技術開発それぞれに対する受賞なのでした(簡単すぎるか?).
・物理学賞は巨大磁気抵抗効果の発見.感覚的には分かるが、具体的にはよく分からん.ディスクの大容量化に貢献する技術とか.

*1:高校化学でも出てきますよね?気体窒素からアンモニアを合成する方法

*2:カビ屋なので相同組換えと言えば酵母が思い起こされますが、柳田先生によるとやっぱり色々と言いたいことがあるようで、、、