なんだかトラブルが多いですね

問題になってからあーだ、こーだ言うのはいやらしくて嫌なんだが、自分は以前からあーだこーだ言っていた気がしないでもないので、ちょっと言わせてもらう.


雪印、不二屋、"あるある"など*1、こと食品に関することになると問題が大きくなります.口に入るものだから心配するのはいいとして、事件が起きる度に批判の声が上がり、それぞれ反省、対策が練られるものの、食品に対する根本的な捉え方が間違っているためにまっとうな解決にはつながっていない気がします.要は"安全"が何か、という点で誤った認識をしているのではないでしょうか.
私は世間一般の食品に対する安全や健康のイメージが誤った方向に向いていると考えています.日本においてそのような世論を形成するのに最も影響のあるものはメディアでしょうか.しかし大事なことには目をつぶり、常にスケープゴートを探して遊んでいるメディアがマジメに正しい方向へ向かって行く事は難しいでしょう.それには何かのきっかけが必要な気がします.
きっかけのひとつとして考えているのは "日本が食糧で困る" ことです.日本は食糧自給率40%の国ですから、海外からの食糧供給が止まったら大変困る事になると思います.特に近隣アジア諸国(要は中国)の経済発展と国際政治力の増大をみれば、日本が食糧確保に困る事態もあり得ます.そのような事態になってやっと、のうのうとした話をしている場合ではなくなり、食品、食糧についてマジメに考え出す可能性があります.
もうひとつのきっかけとして考えているのは、これまで安全、健康と考えられていた基準が覆る事態です.雪印や不二屋は安全基準というよりむしろ倫理上の問題な気もするので難しいけれども、今回の"あるある"のような出来事は安全、健康基準を見つめ直すきっかけになる可能性があると思います.


いきなり脱線しましたが、、、、、食品一般でウケのいい(安全基準として考えられている)キーワードは、天然、無農薬、有機肥料、健康、身体にいい等々ありますが、いずれも本当に良いものを意味しているのでしょうか?
まず天然のどこが良いのでしょうか?天然物と言ってもトリカブト(アコニチン)やフグ毒(テトロドトキシン)のような猛毒から、ジャガイモのソラニンや大豆のプロテアーゼ阻害タンパク質のように切除したり、加熱分解によって口にできるようにしているものもあります.天然物と言っても安全を意味しているわけではありません.私は天然物が良い理由はまったくないと思います.ただし伝統的に食されてきた天然物(もちろん野生種ではなく品種改良よって人間にあうように選抜されてきたもの)は数十年〜数千年の摂食(人体実験)によって、多分問題ないと言うことはできると思います.
農薬やら有機肥料の話はこれまでにも書いてきた気がするし、書いたら膨大な量になるので省略しますが、無農薬によって繁殖した微生物(カビ)が毒素(アフラトキシン)を生産する.有機肥料と言ったって使い方の問題だし、使い方によっては害虫やら病原バクテリアの大繁殖を引き起こす等々をいちゃもんとして書いておく.
健康、身体に良いということですが、、、、、根拠はどっかの研究者が出した実験データでしょうか?えーと、いつも思うのですが、メディアから流される科学の話というのは結論、つまりデータの解釈しか流されないですね.元のデータをあたってみれば、え?と思う事も多いはずです.たとえば結論だけ見ればゼロか百かというように思いがちですが、実際の実験データがゼロか百かであることは大変少ないです(分野によっては有り得ないかな).統計上の解析をして有為な差があればたとえ90対100でも差があると言えるのです.ただしこれは科学データを捏造したと言っているのではありません.ゼロと百ではないにしろ、差があるには違いないのです.世に言うSNPだって、"率が倍に上がった" というものだっていくらでもあります.たとえScienceやNatureに載るものでも同じです.ですから健康にいいと言っても、実際にはどの程度であるかはまちまちです.また短期的な実験では良い結果が出ても、長期的に見れば大きな差異はない事も多いと思います.他人の論文読んで思うのは、データというのは筆者にとって都合の良いものだけを出している例がいかに多いか!ということ.特にスタンドプレーをしたがる人はそうですね(すみません、科学はいかがわしいと言っているわけではありません).実験の信頼性も考慮しなければなりません.動物実験ではヒトと違う結果が出るかもしれないし、サンプル数が少なかったり、サンプルの選抜法が適切でなかったりする可能性もあります.
健康、身体にいいというものはある一面的な尺度からみて、良い、というだけかもしれません.脂肪が減るという利点と引き換えにホルモンバランスが崩れるとか、長期的に摂取すれば毒性をもつ(たとえばガンになる率が上昇する)ということもあるかもしれません.しかしそのような可能性はほとんど調査されていないと思います.とくに長期的な毒性(慢性毒性)なんてまず調べてないでしょう.そもそも身体に良いという事は、身体に何らかの作用をしていることになります.低量の摂取ならば身体に良い影響を与えるにしても、大量では害がある可能性もありますよね.


そんなこんなで現在の健康ブームは根拠が薄弱なものの上に乗っているような気がします.確かにデータとして、身体に良い影響があると出たのならそうなのでしょう.しかしそれ以外の影響を及ぼす可能性や、そもそも実際は大したことないこともあるのではないでしょうか.


まー、そんなこと言うても、こー書いてること自体、個々の事例をじっくり検証したわけではなく、言ってみれば主観的な意見に過ぎないんですけどねー.


えーと、話がズレますが、これまで危なそう、、、、、と世間で思われていた中に、実際は極めて危険性が低いものがどれだけあるか.私はただの学生でどっかの営利企業の回し者ではないのですが、ただの学生の中立な観点から言わせてもらうと、



遺伝子組換え食品は安全性が


確認された唯一の食品である



本当です
導入遺伝子の座位、遺伝子産物(タンパク質)の検定、その他の遺伝子に対する影響(食品中の成分等)、毒性試験等をやっている食品は他にありません.例えば伝統的な育種方法でつくりだされた作物、たとえばコシヒカリやアキタコマチはこのような検定を全くやっていないのです(だからと言ってこのような検定が必要と言っているわけではない).


最後に、、、、、主観的で申し訳ありませんが、今回の事で納豆のイメージが悪くなったらかわいそーだなーと思います.何と言っても私は納豆好きなので.まあこれまでの固定消費者は別に離れたりしないか.結局何も変わらないのならそれでいいんですよ.

*1:前二者と後者を同列に並べるべきではないだろうけど