EPOのマスキング試薬

カピバラさんのところでEPOのマスキング剤のことが取り上げられていました(情報ありがとうございます).
あー、確かにそういう手もあるな、と思いました.
それから、、、、、
おっしゃる通り、一度ドーピング疑惑が起こると"推定有罪"で捜査が進むことには違和感を覚えます.本来捜査は"推定無罪"で進めるべきで、捜査機関側には違法行為を立証するのに十分な証拠を提示する責任があります.スペイン捜査機関はこういう姿勢をとっているように思えますが、WADAにはこのような姿勢が足りていないのではないか、特にディック・パウンドの偏見はどうかと思います(←公平であるべき機関の長としては好ましくないので、クビにしてほしい).
ただ公的に擁護する側も客観的な姿勢をとる必要があると思います.イタリア自転車連盟などはバッソに対して主観的な擁護を行っているようにもみえるのがちょっと気にかかります.推定無罪の原則に立つにしても、スポーツのもつ社会的影響を考えれば ー更に疑惑をかけられた選手は復帰後も衆人環視の下に入ることを考えるとー 選手の側でも潔白を証明する努力が必要ではないでしょうか.選手サイドにそういった証明を求めるのは酷な話ですが、オペラシオン・プエルト被疑者がこのまま放免されては、私は事実が有耶無耶にされた印象を受けてしまいそうです.
個人的にはバッソコンタドール、その他もろもろの選手の復帰を望んでいますが、だからこそ周囲から潔白だと認められた上で戻って来てほしいです.


それからみなさま、科学ってそれほどいい加減なものでもないですよ.私は出されたデータ自体は客観的で信頼できると考えます.もちろんそのデータの解釈に主観の入り込む余地があることには注意が必要で、それはどんなものでも使い方を扱いを誤れば、誤った方向へ行ってしまうのと同じことです.
EPOをマスキングするプロテアーゼのことですが、こういったプロテアーゼは非特異的にタンパク質を切断するため、ほぼすべてのタンパク質が切断されることになります.Aサンプルの検査では確かウェスタンブロッティングで検定しているため、電気泳動後の全タンパク質染色の段階でほぼすべてのタンパク質バンドの消失が確認されます.これでプロテアーゼが混入した必要条件は満たしていると思います.十分条件を満たすためにはプロテアーゼを検出しなければなりませんが、世の中のプロテアーゼの種類を考えるとそのすべての抗体を試すのは実質的に不可能でしょうから、厳密には状況証拠となりますが、これ以上証明する必要があるとは思えません.また、たとえプロテアーゼが検出できたとしても、それが選手の入れたものなのか、陰謀なのか証明するのは困難でしょうから、これ以上はイタチごっこになると思います.
どのような検査法でも完璧では有り得ないし、誤差も生じます.ただそういったことも勘案して採用された方法なんですよ.データの信頼性についても統計的に十分と認められる回数試験を行った上でのもの、のはずです(←おや、急にトーンが弱くなったぞ).そしてまともな科学者ならこの辺りの精査はできているはずです(一応そこは信じてます).


すいません、批判しているわけでも、喧嘩売るつもりがあるわけでもありませんが、とにかく私の考えを提示させて頂きました.当初書いた文章は(眠かったので)表現がキツかったように思います.そういうのはそもそも出してはいけないのですが、不快に思われたらお詫びします.